多感な中高生向け本「友だち幻想」みんな仲良くの重圧、人との距離感
2018年4月14日(土)放送「世界一受けたい授業」は「人との付き合い方」でした。
講師は第153回芥川賞を受賞した又吉直樹先生です。
この記事では、番組と本「友だち幻想」の感想、友達や人との距離感について書いています。
(この番組を観たのは、娘が不登校となる前です)
「友だち幻想」ってどんな本?
又吉先生自身、人付き合いが苦手と言っています。
その 又吉先生が紹介した本が「友だち幻想」です。
著者は 社会学者の菅野 仁(かんのひとし)さん。
父親として、娘さんに贈った著書でもあります。
長女の知世(ちせ)さんは、小学校高学年から友達関係に悩み、中学生の時は教室に入れない子。
保健室登校をしていたそうです。娘の姿と重なりました。
日本テレビ「世界一受けたい授業」だけではなく、NHK「おはよう日本」でも特集されました。
番組で紹介されたあと、38万部突破のベストセラーとなりました。
全国1000人以上の先生が選んだ、中高生にいま一番読んでほしい本「キミに贈る本(キミ本)大賞」(読売中高生新聞主催)第1位です!
人付き合いが大変な時期に効く処方箋のような本、みんな仲良くという重圧に苦しんでいる人に向けた本です。
以下が出版社からのコメントです。
本書は、もともとは2008年に社会学を専門とする著者が人間関係で初めてつまずきを感じる多感な年頃の中・高校生に向けて書いたものです。
他者との距離感についてもう少し敏感になることで、もっと豊かな関係を築くことができると説いています。
今では学生だけでなく、老若問わず深く共感する声が多数寄せられています。
ドライに感じますか?大人になるにつれて、わかってくることですよね。
学校で教えられることって逆です。誰とでも仲良く、一致団結、心をひとつに。
だから、余計にトラブルとなる。大人でも難しいことを子ども達に要求しているんです。
幼いからこそ、なんとかなるけど成長に伴い歪がでてきます。戸惑います。
甲本ヒロトさんも言ってた。たまたま同じ電車に乗っただけ。
車両の人、みんなで仲良く友達は無理。
でも、喧嘩せずに降りる駅まで平和に乗ってなきゃだめ。
たまたま、近所の同学年が一緒になっただけなんですよね。
車両は定期的に変わります。どうしても合わなきゃ別の路線もあります。
(この考え方は娘が不登校となってから持ちました。我慢にも限界があるから。心と身体を壊すまで我慢しなくていい。)
この本は理想ではなく、現実的なことを言っています。
自分を傷つけないように、人を傷つけないように距離を置くのも大切。
今の時代、この考え方がうまく生き抜く方法だと思います。
「友だち幻想」は学校という環境で苦しんでいる子どもたちに、人との付き合い方のヒントくれます。
これ2008年の著書なんですが、今の時代の方がしっくりと来る内容なんです。だれとでも繋がりやすい時代になったからですね。
特に思春期、新学期の頃に悩んでいる子ども達、またその年齢の子を持つ親御さんにも一度読んでほしい1冊です。
ここからは番組の内容を紹介をします
友だちは重荷・窮屈・脅威の存在?
友だちはワクワクした気分にさせてくれる存在。
では、もう1つの存在は?
今はSNS、LINEも普及して、簡単に繋がれます。
その反面、自由がないということでもあります。
重荷。自分を窮屈にする、驚異の存在。
放置したら付き合いが悪いとなる。すぐに返信しなきゃと時間に追われる。
大勢でグループを組み、その中で悪く言われてないか心配になる。
繋がりが増えていくのは楽しい。けど、傷ついたり悩む。
自分自身が疲れるところまで広げてはいけない。
これは大人もそう。SNSも同じですね。
キャパオーバーしたら楽しいより疲れる。
友だちとの距離感|友だちは他者・傷つかない方法
可愛い子役が登場しました。小学生の男の子です。
こう言いました。
僕、学校に苦手な子がいるんだ。
さて、どんなアドバイスをしますか?
出演者の方が次々と実際にやってみました。みんな失敗。ダメだしされていました。
正解は「ちょっと距離を置いてみよっか」です。
必ず、苦手な人って出てきます。
同じグループ内でも、この人と二人きりだとちょっと気まずいって思う人います。
無理に仲良くしようと思うと、余計にお互いにとって負担になる。
距離を上手に置くこと
本当に仲の良い、心を許せる友だちって、何人もいますか?
じゃあ、他は友だちじゃないの?
又吉先生は 他者 だと言います。良い所、悪い所すべてを受けとめてくれる人なんていない。
それは幻想だと。タイトル、友だち幻想ですね。
私は友だちというより 同志だと思っています。
助け合ったり、刺激をもらったり。一人じゃできないこともあります。そんな時のメンバー。
社会に出て、仕事をしたら、この人は嫌だとか、そんなこと言ってられない。
その人達とも一緒にやらなければいけない。
近所付き合いもそう。集団単位で生活していて、社会が成り立っている。
限界を知っておくことが大事。
それが傷つかない方法。そのことを子どものうちから学ぶ。それが学校という場所。
「誰とでも同じように仲良くしなさい」は違う。
ただ、排除してはいけない。 存在をなくす考え方ではない。
仲間はずれ、いじめに繋がります。
そういう存在がいるということ、いてもいいと理解することが大切。
- 最低限の挨拶をする。
- 敵視はしてはいけない。
- 上手に折り合いをつけていく。
この距離感が子どもには難しい。
だから、大人が見守る必要があります。
まとめ|みんなと仲良くできなくてもいいんだよ
「1年生になったら友達100人できるかな」って有名な歌詞ですよね。
番組でも触れられていましたが、私もこの歌詞苦手なんです。
友達をたくさん作ることが いいことではないと思ってるから。
友達 少なくても恥ずかしいことじゃないからね。
絆は大事だけど、友達第一でもない。そう考えると気持ちが楽になります。
他者との関わり方は自分次第。他者を認めること。
上手な距離感を掴む。苦手なこと、苦手な人から上手に離れることも大事。
我慢することが美徳じゃないんだよね。
そうやって 大人になってくると、価値観や考え方が違っても、違うからこそ惹かれる人も出てくる。
完全には受け入れてもらえなくても、お互いにとって居心地の良さを感じる。それでいい。
それに、子どもを成長させるのは友だちだけではない。
簡単に多くの人と繋がれる時代になった今こそ、見直される考え方ですね。
ここまで本と番組の感想を書きましたが、ここからは個人な気持ちです。
今、不登校の子ども達が増えています。この同調圧力も1つの要因です。みんな仲良く、みんなで一緒にが苦しい子もいます。
特にグレーな子どもが排除されやすいんです。距離を置くという考え方もわかるけど、今の学校だと枠からはずれやすい。
時代が変わった。子ども達にだけ変われ、排除しないようにではなく、周りの大人、学校側も変わるべきではないでしょうか。